知行合一:知識と実践は表裏一体 陽明学と昨今の知識偏重

アジア城温故知新
彩流
彩流

知行合一と言う言葉。

「知識」だけではなく「実践」も必要。

二つは表裏で切り離せません。

「知行合一」の歴史と考え方

この知行合一、約500年前の中国・明の時代の思想家「王陽明」の陽明学。その命題が「知行合一」です。

吉田松陰の座右の銘としても有名な言葉です。

儒教の歴史と陽明学

古代中国から脈々とつながる儒教。もともとは考え方や祭祀などが源流と言われています。その習慣や考え方などを学問・思想レベルにまで「儒教」と体系化したのが孔子。そしてその弟子たちによって高められました。

その後、仏教や道教、老荘思想等が導入。時代と王朝によって様々な影響を受けます。儒教はやがて下火になります。

そこで宋の時代、儒教の再編成が行われます。中心になったのは「朱子」という人物で、後に朱子学となりました。朱子学は「理(ことわり」を学ぶ学問。万物には根本原理(理)があり、その知識に到達しなければならない、との教え。

今回の陽明学。王陽明は、この「朱子学」について異議を唱えました。彼の「伝習録」の中には、「理」は認めますが、その「理」は自分の外から学ぶのではなく、自分自身の心こそ「理」という事です。

自分自身の「理」は自分自身で成長させなければなりません(良知)。まず知識を入れるのではなく、元々の自分に合わせた実践を伴う必要があるという考え方です。

別の例でいえば、朱子学は「学んでから実践」という”先知後行”。陽明学は「学びも実践も同一で切り離せない」という”知行合一”を唱えました。

知は行う事の始まりであり、行う事は知の終了、とのこと。なかなか理解が難しい所です。

知行合一の実践

座学等で学んだ事を実践する。現在の学校で勉強し、後に実践を行う。これが知先後行です。

一方、「知行合一」は学びながら行う。知ってて行わないのは、知らないのと同じという考え方です。

現在の学校では教科ごとに分かれて、良い例を出すのが難しいです。ただ、四書五経や兵法、または現在のビジネス書に至るまで、学びつつ実践し、自己修養には欠かせません。

「まず学んでから実践しよう」とせず、実践しながら学びを深める。二つを陰陽の様に繰り返していくことが、まずは陽明学の一つの教えです。

現代日本の問題点

日本も儒教思想や朱子学、陽明学などの本が多く出版されています。よく読んでいる方も多いようです。

ただ、なかなか社会システムとして活かされていないのかな?とも思います。

陽明学やその元となる「伝習録」には「志」と言う言葉が多く使われています。大きな目標となる「志」ですが、なにも個人の事だけでありません。国や社会、企業も「志」があってしかるべき。

ただ、この「志」がおろそかになっているように感じます。

質を問われるリーダーたち

国や地方自治の方向を決めるリーダーや議員さん達。私たちの苦労や不条理をしかるべき場所で議論し、国民生活をより良くするために日夜働いています…と書いてて違和感を感じます。

新型コロナの給付金、クーポンで配ると言い出したり、お友達企業との癒着。失言の数々など、議員さん達の資質を問いたい情報が日々寄せられます。

学んで実践する知行合一、二世三世議員さんたちは家庭で古典を学ぶ余裕もあった様ですが、なかなか実践されていません。

「経世済民」という世の中を治めて民を救うという「経済」の学びも実践も、志も感じにくくなっています。

目的と実践がかけ離れた英語教育

例として英語教育を挙げます。

昭和や平成は中学生以上で英語を学びます。令和の今では小学3、4年から。教育方針としては「グローバル社会に向けたコミュニケーションスキル」として位置付けています。

最初はお遊びで学ぶのも良いでしょう。ただ、中高で6年英語を勉強し、会話できるようになったのでしょうか?文法やアクセントの場所等はよく試験に出ますが、試験が実社会とかけ離れています。

座学を6年して、実践できないのでは本末転倒、それ以上に時間の無駄ではないでしょうか。

私も英検などに挑戦していた時代がありましたが、「ちゃんとできるまでは恥」として口から英語が出ませんでした。

間違えてもいいから実践していくのが正しい成長のはずです。

ビジネス書ブームの知識偏重

本屋さんに行くと、多くのビジネス書が出版されています。あたかも買っただけで知識を得られたような、更には考え方の違いで大きく成長した方法など書かれています。

ビジネス書に限らず、Youtubeやブログなどでも「○○は絶対するな」「○○で売り上げ100倍」など、魅力的な言葉が多く使われています。

知識と実践は表裏一体。知識を得ても実践しなければ意味がありません。

また、自分自身に合った「良知」を育てるためには時間がかかります。小手先の変化で成長するのは、一時的に変化があっても、なかなか継続するのは難しいです。

知識を得ることはもちろん大切です。ただ、知識偏重の頭でっかちになっては、行動しにくくなってしまいます。

まとめ

今回は陽明学の「知行合一(ちこうごういつ)」について。

知識と行動は表裏一体で切り離すことができません。

学んでから行うのではなく、学びと行動は一緒。自分の心や志(良知)を修練し、日々学び実践することを目標としています。

オススメの一冊

https://amzn.to/38G2iSp

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました