あまり耳慣れない言葉かもしれません。
「食客」
韓国ドラマでも同じタイトルがあるそうです。
今回は韓国ドラマではなく、歴史上の中国に存在した「食客」という風習、制度について書かせていただきます。
「食客(しょっかく・しょっきゃく)」とは
まず、言葉の意味ですが、簡単に言えば「居候(いそうろう)」が一番近いでしょうか。
国家や権力者、富豪などが才能ある人物を客として遇して家にいてもらう代わりに、いざという時は主人を助ける、と言うものです。
様々な解釈や歴史上の問題等ありますが、「主従関係」ではなく「お客さん」としたそうです。
制度自体は春秋戦国時代、秦の始皇帝時代よりも更に前とのこと(史記)。
食事を出してもらって、養われます。いざという時に役に立つ人もいますし、それまでの諸国漫遊で培った情報網等で交渉役になる事もあります。
「鶏鳴狗盗」も食客絡み
食客で有名なのは「鶏鳴狗盗」の由来にもなった故事。
紀元前299年、秦の国。
田文(孟嘗君)という政治家、元はそれほど有名でもないが、その家にいた食客からうわさが広がり、王の耳へ。そして宰相となった田文も食客3000人を抱える大所帯。
中には盗みや物まねだけで家に居候していた人間もいたとか。
ところが、田文が王の怒りを買い、妃に仲介を頼んだ際にある宝物が欲しいと。その宝物、既に王に渡してしまった。そこで食客の一人、盗みのプロが宝物個から盗み出し妃に献上。
難を逃れたと思いきや、やはり命が危ない。そこで夜逃げ出す際、関所は夜中は閉じていた。門が開くのは鶏が鳴くのが合図。追手が迫ってくる中、別の食客が鶏の鳴きまねをして、それにつられ他の鶏も泣き出す。無事田文は逃げることができたとさ。めでたしめでたし。
このことから「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」は、今役に立たなくても、いつか役に立つ、という意味になりました。
現代や、これから求められる「食客」
美談ばかりではなく、なかには主人を殺してしまう事もあったそうですが、それはごく一部と考えてよいでしょう。
これからの時代、食客の制度・習慣は必要になってくると思われます。
食客の重要性①水準の維持
小さい組織は、小回りが利く分、時々知らずに「われ我が道を行く」になりがち。特に昭和型ワンマンリーダーが立ち上げた組織で二代目や長年の社員しかいないと、気がついたら世の中から遠くなっていることも。
そこで、食客。とくに他の組織で見てきた人であれば、世の中の流れや知らなかった技術、制度等を知ることができます。
企業として、ある程度の維持や水準、グレーゾーンがある時などは、外の情報がとても役に立ちます。
食客の重要性②専門の情報
知らない分野の事を一から勉強して、他の企業や同業他社とやり合うのはとても大変。とはいえ、時々しか役目が無い、という時にも食客が役に立ちます。
すぐに返答しなければならない時はやはりその場の知識ですが、少し猶予があれば得意な食客に聞いて、答える事、もしくは食客自身に説明してもらうのが良いでしょう。
食客の重要性③噂や口コミ対策
ネット時代、ネットにかかれている口コミは結構真実に近いことがあります。食客に書き込んでもらうのも一つですが、やはりネットを介さず、人から人への「噂」を広げてもらうのも「食客」の役割の一つ。
また、ネット情報が真実なのか虚偽なのかを知るのも食客の魅力の一つで賞。
食客になりえる世代
最後に食客になりえる人としては、世の中を見ている人、様々な世界を見た人が理想です。
学校卒業してから一か所で仕事していました!という人よりも、有期雇用で転職が多い「就職氷河期世代」は、良い意味で様々な情報を持っています。
エリートで金持ちが集まる「有識者会議」よりも、就職氷河期世代の方が多くの修羅場や生活感覚を持っています。
閑職かもしれませんが、食の安定はマズロー欲求5段階をしたから順に埋める事にもつながります。
リストラとは正反対ですが、「食客」という制度を考え直す時なのかもしれません。
まとめ
今回は食客について説明。「鶏鳴狗盗」が良い例ですが、毎日役に立たなくても、いざという時に命を助けるほど活躍することがあります。そして食客の魅力やそれに適した日本の世代にも書かせていただきました。人員整理、リストラではなく、あえて就職氷河期世代を食客として迎え入れて欲しいです。
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