以前私は中小企業等の人事部、人材開発(新人教育部)に所属していました。採用担当者として、一次面接や二次面接において「履歴書」をどう活用しているのかをお伝えしたいと思います。
履歴書、書く度とても緊張すると思います。採用担当としても十分承知の上です。
少しでもお役に立てれば幸いです。
履歴書と職務経歴書
高校や大学新卒で、入社希望の場合は「履歴書」のみ提出が多いです。ただ、中途採用は「職務経歴書」を出していただく事が通常です。
履歴書の場合、通常A3の用紙に、左側が客観的事項(住所、学歴、職歴)、右側が資格や主観的事項(志望動機、特技、自己PR等)。
職務経歴書は、学校卒業後の仕事・職務内容を書いていきます。役職はなるべく漢字名で書きましょう。よくある「マネージャー」よりも「主査・課長」等の方がわかりやすいです。
そして、どのような仕事をしたのかを書いていきます。このときに専門性があれば良いアピールになります。
履歴書の活用
さて、履歴書なぜ必要なのでしょう。
面接前にある程度の人物像を想像し、質問などをあらかじめ決めておきます。
そして一番大事なのは、入社後に、保険や労務税務上の書類はこの履歴書を元に作成されます。通勤経路も改めて提出してもらいますが、自転車通勤可能か、バス電車等の目安もこの履歴書を元にします。
ですので、サバを読まれたりすると、後々大事になります。履歴書左側は間違えずに記入してください。
生年月日に昭和平成と西暦を併記していただくと本当に助かります!
さて、人事部で二次面接以降がある時は、この履歴書を元に推薦状を上司に向けて書いていきます。面接での印象や質問事項に対する回答等をA4紙1枚に箇条書きで記入。
また、店舗などに配属する際も、左側事項と紹介文を店長に送信することがあります。
面接の最中に面接官がたまにメモを取るのは、この書類を作るためのメモです。
形から言えば、一次面接時の面接官が、推薦するような形で二次面接へ。二次面接では社長級が出てきます。
人事部からしてみれば、常識外れや何か問題あれば上司の時間がもったいない為、「縁がなかった」となります。ひどい場合は一時面接官の処遇にも関わるので、まじめなタイプが通りやすいのはこのためです。
ただ、2時面接で社長級が対応する際、ユニークさや独特のPRができれば採用されやすいのも事実。「面白い学生だね!」となります。
履歴書の書き方
以前は「手書きが常識!」となっていました。
習字や毛筆有段者は手書きでも良いです。ただ、私は手書きでも印刷でもそこで優劣は付けません。逆に読みにくい字で提出されると、読み間違いが増える為、マイナス点をつけることがあります。下手でも丁寧に書いた字であれば受け取ります。
コンビニ履歴書(右下にコクヨと印刷)にワープロ入力で綺麗に印刷されていると「この希望者はWordや一太郎を使いこなしている」と判断してプラス点をつけたことがあります。
3ヶ月以内の就職は「試用期間内」なので記入しなくても大丈夫。ただ、近所の競合他社の場合は記入したほうが良いです。
最近はネットで送ることが多くなったため、ワープロ入力のPDFファイルなどが多いです。
写真はワードやPDFに添付できない場合があるので、その際は問い合わせください。別のファイルで送ってもらうか、写真必要なしかの返答をします。
履歴書に書いた方がいい事項
履歴書右側、資格免許など書く欄があります。
資格検定は種類様々ありますが、目標業務に必要なものは必須。枠に余裕があれば他の資格も記入。
この際、国家資格や公益法人主催の試験を優先しましょう。「簿記」「気象予報士」「漢字検定」「TOEIC点数・英語検定」等。余裕があれば検定試験なども。
資格検定などが多いと「勉強熱心」という印象を受けます。
自己PRや志望動機
自己PRや志望動機は、希望する会社パンフレットやホームページを見てよく読んで書きましょう。特に「社長の言葉」や歴史、取扱品種等を取り入れるとウケが良いです。
学位を伴わない留学(語学留学等)は自己PR欄に。時期と期間も記入します。特に3か月以上の場合は書いた方が良いです。
わかりやすい文章で簡潔に書きます。
また、情報発信できるツール、SNS等でフォロワーが100人以上いる場合はこれも十分自己PRになります。お偉いさん方へは人事部から説明します。Youtubeやブログ等が該当します。アドレスやチャンネル名を書いておきましょう。
訂正箇所がある時は再送する
最近はメールで履歴書を送られる事が多いです。取り扱いが楽になった分、記入年月日が1年ずれていたり、希望職種に違う会社の名前があったり。
この場合は人事部として「間違いは誰にでもある」として、訂正を促します。この際、すぐに新しい履歴書や職務経歴書を送ってください。
間違えてもそのままにしておくと「訂正できない、誤りを認めない」として、不採用にすることもあります。
履歴書の流れ
人事部とすると、新卒採用の場合、一日に届いた20人~30人位の履歴書を10分から15分で、クリアフォルダーに一人ずつ入れていきます。氏名欄に大きい字の名前だと印象に残りやすいのも事実。
そして面接の順番などを決めて連絡を取っていきます。
中途採用の場合は一日1人か2人。それでも書類に目を通すのに時間がかかります。そして面接日時連絡に、電話の場合はなかなか連絡が取れず、双方忙しい場合があります。
ですのでメールは貴重です。メールでのやり取りで履歴が残るため、日時の変更など「何月何日何時を何月何日何時に変更した」という事がわかります。
メールで以前のメール内容を消されて「○○です。何日の何時からでお願いします」とだけあると、内心「どちら様で?」となってしまいます。大学生等Line書式に慣れている方に多いです。
特に日時の連絡は関係各所に調整しなければならないので、しっかりしたフォームで送ってください。
このメールも上に報告、公開される事があるので、たとえ知っている先輩でも、余計な事などは書かないようにしましょう。
面接当日
履歴書の流れの通り、面接日当日に複数の面接を行います。
何だかの事情でドタキャンは仕方が無いので、なるべく早く連絡しましょう。
予定よりも5分は早めに会場到着。案内の人に「こちらでお待ちください」と言われる辺りがちょうどいいです。
履歴書は一日遅れて到着しても、受け取ります。ただ面接に連絡なく5分遅れると、申し訳ないですが受け付けません。
時間は社会人としてのマナーです。遅れる際は必ず連絡を入れてください。
また、当日発熱がある際などもこのご時世、考慮されるのであきらめる前に連絡を入れてください。
面接では職務経歴書が活躍
新卒の場合は、履歴書の志望動機などを元に、学生時代の部活や委員会活動を聞いていきます。
中途採用の場合は「職務経歴書」を元に聞いていきます。
努力したことや今後のキャリア展望について、そして採用した際にわが社にとってどのような利益をもたらすか?等を聞いていきます。
そして、「一身上の都合」の理由。ここで前職の文句を言うと印象が悪いです。「とても多くの事を学ばせていただきましたが、残念ながら○○の為、職を辞しました」というのが正解。
あくまでも私の基準として、年代分の転職経験は特に問題としていません。30代で3回目の転職、40代で4回目等。有期雇用・派遣社員で職を転々としてしまうご時世です。むしろ幅広い経験を期待するので、職務経歴書にプラスイメージがわくように記入してください。
まとめ
人事担当から採用の際の履歴書について書かせていただきました。書くのも読むのも神経使う履歴書と職務経歴書。
企業によってどこにウエイトを置くかは違うと思いますが、私の経験で書かせていただきました。
手書きにこだわるよりも、わかりやすく伝えるように書くのが基本です。
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