NHKのBS、コロナ新時代への提言3 それでも生きていける社会へ
かなり考えさせれられる番組でした。
番組内容:コロナ新時代への提言3
2021年7月20日にNHKBSで放送された番組です。
コロナによって「変わった」というよりも、「露呈してきた」という問題が現れたように感じる今回の番組でした。
番組では児童文学の名著「モモ」を題材に3人のそれぞれの専門家がそれぞれの視点で話をします。
経済思想家:斎藤幸平 先生
独立研究者:山口周 先生
医療人類学者:磯野真穂 先生
児童文学のミヒャエル・エンデ「モモ」は読んでいなくても番組内で紹介されているので、問題ないと思います。私は以前「100分で名著」の紹介で読んだことありました。
経済思想家の考え
経済思想家、斎藤先生の話から、この番組では考えさせられます。
「命」か「経済」か。これを比べること自体がおかしい
いままで、「命」と「経済」を知らない間に天秤にかけていました。そして、いつの間にか「経済」を選ばされて、命に関る予算は削減。更には「自助」で自分の命は自分で助けろ。
「豊かになるために、時間の節約」
これも気が付かされました。豊かになるために時間の節約をしてきたため、結局余裕のない生活になって経済を回す。そしてこの「時間の節約」で喜ぶのは資本家。
たしかに、時間の節約で「リモートワークは良い事」「空いた時間にスマホ」。個人が喜ぶのではなく、資本家・ゲーム提供の株主が喜びます。
医療人類学者:磯野先生
磯野先生も「命」と「経済」の天秤に疑問を呈しています。さらに数値にこだわり過ぎて、他の者が見えなくなっている、表されていないものが多くあるといいます。
与えられる情報のみで判断させられ、自分の判断ができなくなっている
数字ではなく、一人一人の決められた限られた時間の中で、自分の暮らしと共に他の人の暮らしを大切にする。
独立研究者:山口先生
山口先生の視点では、コロナによって「退屈」に対する恐怖感が表現されていました。
退屈から逃げるため「生産と消費」という近代が始まり、そして山口先生はこのコロナによって近代が終わる。
たしかに、日本の今の社会、「退屈」は悪という事になっていないでしょうか?何もしない状況、何もない状況に喜びを感じるでしょうか?
最近のYoutubeやブログ、スマホゲームなど、如何に時間を独占するか、という事が目的になっているように感じます。
感情が動かない、給料等のステータス仕事は、生存能力・想像力を殺してしまう。
資本主義社会への提言
「モモ」と「コロナによる新しい社会」は行き過ぎた感のある資本主義社会と、それによる環境破壊や格差社会による弊害についての提言もしています。
モモに出てきた「経済成長という幻想に、私たちの命を削っていかなければならない」。う~ん、心に刺さります。
豊かさとは?
番組内では、物にあふれている現代社会を表しています。以前は「登山社会」、そして今は「高原社会」。
皆が上を向いて登っていた「登山社会」はもう終わり、経済成長は現在上昇を見込めず「高原に達した」という社会を迎えました。
確かに格差が拡大、物質的な豊かさよりも心理的な豊かさを求められます。マルクスの考え方も紹介されます。
数字による将来的な経済的不安な状況から「子供は2人ではなく、1人、いやできないどころか結婚する余裕もない」というのは、豊かな先進国と言えるのでしょうか?
豊かさとはそもそも何なのでしょうか?
私の考え
富の再分配、ベーシックインカムなどありますが、やはり税制と豊かさの追求は今後見直されていくと思います。日本で議論が進むことは良いと思いますが、議論できる機会に恵まれているのは資本家たちだけではないでしょうか?
車工場で働いている有期雇用や派遣労働者は、何年働けばその車を購入できるでしょうか?
可処分所得は30年前からどれだけ低下したでしょう?
資本主義が完璧最高ではない。色々な主義や社会があるという事の教育が必要と思います。
消費税が導入された際に廃止された「物品税」や安くなった「法人税」、誰を苦しめて誰が得したのでしょう。
アラフィフのロスジェネを生きてきた私にしては、この番組、色々考えさせられました。
最近のソロキャンプは良い兆しなのかもしれませんね。
出会いが豊かさに
番組の締めくくりは、出会いについて論じられています。
自分の豊かさ、ある意味で人との出会いに関ってくるのではないでしょうか?
先ほどのソロキャンプも、ぼーっとする時間と、同じソロキャンプ同志で適度な距離間で話すこともあり、充実した時間を送れます。
男女の出会いに関らず、出会いというのはとても人生豊かにできる可能性を秘めています。
まとめ
コロナによって変えられた社会。コロナ前の「元に戻る」のではなく、新しい社会を迎えるにあたり、それぞれ違った分野の考え方を児童文学「モモ」を元に表された興味深い番組。自分の限られた時間を奪われずに大切にしていかなければならない、と考えさせられる番組。30代から50代のオジサン達に是非お勧めの番組です。
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