世界的に大豆の値上がり。
ご当地納豆など言ってられなくなる日も
世界的な価格と日本の国力低下
バブル景気(1985年~1991年ごろ)に働いていた人たちは、価格が高くても良いものを買う。いつも価格は上がっていく、という購買行動が身についているようです。
良いものは食べ物も同様で、ブランド米や肉、魚なども同様です。家庭用のお節料理も高級店から注文などもこの時期。
日本社会の変化
ところが、景気が悪くなってから就職したいわゆる「就職氷河期」以降に働き出した人にとっては、給料は上がらないどころか自分の意思で支払える額(可処分所得)が著しく低下しています。働き方も有期雇用が多くなりました。
良いものを選ぶどころか、明日の食事、年末年始の食事も「楽しみ」ではなく「生きるための食」になっています。
生活に苦しい時には削りやすい食費。徐々におかずの数が減り、米の割合が増えていきます。
世界の食生活変化
逆に世界、特に中国や東南アジアの国力が向上、食生活も豊かになりつつあります。豆腐やみそなどの健康関連食品の需要が高まり、大豆の需要は高まりつつあります。
ある程度の大豆を使った食生活が定着すると、高級志向になり「日本国産」のブランドを欲しがる家庭も増える可能性があります(シンガポールのスーパーなどにも日本の豆で作ったものが並べられています)。
需要が高まると、当然高く買う人の周りに商品が並びます。需要が高まれば供給も増えそうですが、ここでネックになるのが輸送です。
大豆の輸送
グローバル経済下、生産者は少しでも高く売れる市場を探します。
ネットで通販された方はご存知かと思いますが、「多少高くても、いつも買うところで買おう」という心理はあまり働かず、結局は値段で比較することになります。
国内生産の大豆も船で大量に運べるようになると、時間はかかるものの大豆生産国のアメリカは日本に売らずに、もっと国の力のある場所に動くのは明白。
コンテナの積み下ろしさえ時短したい世界流通業界。
先物取引でも大豆の相場が色々な思惑で上下しています。
遺伝子組み換え大豆の行き先
ところで、みそや納豆には「遺伝子組み換え大豆は使用していません」と書いてありますが、では、「遺伝子組み換え大豆」は使われていないのでしょうか?
遺伝子組み換え大豆は医薬品に
医薬品で食事がとれない患者さん用に食事代わりに栄養を補給する医薬品があります。
「ラコール」や「エンシュア」などの商品名がおなじみ。
胃瘻患者さんにも使われます。喉や食道に管を挿入し、流し込む他、ゼリー状の医薬品をシリンジで送り込むこともあります。
これらの医薬品に使われているタンパク質、製造には遺伝子組み換え大豆が使われています。
医薬品は厳しく検査された「同じ質」の商品を「大量に流通させる」必要があります。季節により品質にばらつきがあるものは医薬品として採用されません。
ただ、日本でい使われる医薬品。2年に1度値段が下がるようにできています。原材料費が高騰してもあまり考慮されることは無く、値上げがしにくい状況です。
言い換えれば、製薬メーカーさんは同じものでも数年後には安く売らなければならず、需要が高まってきて、価格が上昇している大豆の入手が難しくなってきつつあります。
さらに、高齢化が進み、入院・在宅に関らず胃瘻や食事がとれなくなった患者さんが増えていくとなると、遺伝子組み換え大豆も必要性が増してきます。
同じ大豆なら、美味しく食べていきたいですよね。
エコ大豆 エコノミー?エコロジー?
遺伝子組み換え大豆、生産量も計算できて、栄養価も安定している。
「エコ大豆」として流通しています。ただ、この「エコ」は経済的なのか、環境的なのかは不明確。
経済的、と言う意味で考えれば、大量生産大量消費に向いている食品原料。
牛丼チェーンの味噌汁、醤油。味をあまり気にせず出せる豆腐、家畜飼料などはこれらのエコ大豆を使うことにためらいはありません。
大豆は油を作ることもできることから環境的にも貢献するのでは?と研究されていますが、あまり実用化はされていないようです。サラダ油などの原料に使われますが、独特の臭いがあり、単品で使われることは稀です。
大豆は大豆で食べるのが良いように思えます。
大豆製品の例:納豆の魅力 安くておいしい
敢えて言うまでもないですが、納豆といえば健康食品の代表格。ビタミンやたんぱく質だけでなく、納豆菌による発酵食品。ただし魅力はそれだけではありません。
健康食品として
発酵食品の代表格、大豆たんぱく(植物性タンパク質)、そして止血にも役立つビタミンKなども豊富。
食物繊維や抗酸化作用などの魅力もありますが、他の栄養士さんのページの方が詳しいので割愛します。
おかずとして1品カウントできる上、3パックで100円前後。こだわればこだわる程値段が上がりますが、普段食べる分にしては問題なし。
新味などの商品開発
自家製納豆が少し流行りましたが、やはりスーパーなどで売っている納豆を買うのが一般的。
この10年近くで、乾燥を防ぐフィルムを無くしてタレをふたにつけたものも安定的に流通してきています。
数年前から流行の「ちょい足し」ブームだけでなく、納豆メーカーさんも変わり種を用意してきています。
ミツカンさんの四川風味の辛味の効いた納豆や、ウナギタレを使用した納豆など。
ちょい足しでいえば、
チューブのショウガ、梅しそ、わさび
等がオススメ。
また、キムチの汁を少しかけるのも〇。
ご当地納豆は旅行の魅力を向上させる
コロナで県外をまたぐ移動は控えるように、と言われています。旅行もしにくい昨今です。
国内外に関らず、旅行した際に楽しみなのがご当地スーパー巡り。とくに日持ちしない納豆や豆腐などは、地域色を大きく映します。
例えば、秋田ではひきわり納豆が主流。鹿児島と岩手では納豆を売っているスペースが全く違う。
納豆の本場、水戸納豆。ここで食べた「副将軍」は大豆粒が大きく(中粒)刻みのりをつけて食べるのは、納豆好きにはたまりません。北関東のスーパー等では比較的容易に手に入るようですので、ぜひお試しください。
「油揚げ」や「がんもどき」も地元のメーカーさんが作り、地元の人たちが購入するので地域差が現れます。
宮城の三角油揚げはサンドイッチマンやケンミンショーのおかげで全国区に。でも、ご当地でなければ出来立てを味わえません。
旅行の際、地元スーパーや道の駅で売っている大豆製品を自分用のお土産にしてはいかがでしょう?
味噌や醤油もご当地グルメに大活躍
大豆と言えば納豆や豆腐に限らず、味噌や醤油も欠かせません。
ご当地グルメ、メインにはならないものの、自分用のお土産としてうってつけ。
可能であれば、その土地のお寿司屋さんの醤油や味噌汁が良いヒントになります。その土地独特の味わいが楽しめます。
まとめ 大豆を美味しく食べよう
もともと原価の安い食品の一つ、大豆。食生活の変化だけでなく、世界的な需要が高まり、国力の差で日本の大豆流通に支障が出る可能性があります。
大豆を美味しく健康的に食べる、今回は一例として納豆を挙げました。安くておいしい納豆。ちょい足しなどの工夫もできますが、今後値段が上がらないことを祈ります。
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