「効く」と「治す」の違い 自然治癒力と日本語文法

温故知新
彩流
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「効く」と「治す」を言葉としてよく使います。

この二つの言葉には大きな違いがあります。

治癒力と日本語文法の視点から説明します。

 

「効く」と「治す」の大きな違い

薬に限らず、最近では健康食品や器具、果ては食品にまで「この食べ物は○○に効きます」という事が聞かれます。

通販の番組などでも、法的にギリギリの説明や「個人の感想であり云々」と小さい字で表示されていますが、あたかも腰痛や肩こり、肥満などが商品を買う事で「治って」しまうような演出方法です。

「効く」とは

効く、と言う言葉は動詞。期待通りの良い結果が出る。効き目があるという事です。

痛みであれば、薬を飲んで痛みがなくなれば「効いた」という事になります。

そして、薬が切れればまた痛みなどが出てくる「切れた」となります。

「治す」とは

一方「治す」は、元の良好な状態や支障のない状態に戻すことをいいます。

風邪を治す、と言った場合は、元気な状態、風邪の症状が無い状態という事になります。

生活習慣病などでは、食事や運動、生活リズムなどを改善するとともに、リスクが高い際は、リスクを減らす薬を服用します。

自然治癒力

人間には自然治癒力が備わっています。何か異常がある時は体に「症状」として知らせます。

仕事で疲れてくると「だるさ」や「目の疲れ」等のサインを出して、それでも無視し続けると「頭痛」や「食欲不振」などを表します。

人間は自然界の生き物なので、自然に反した生活を続けていれば、これらのサインも現れる前や本人が気が付かないうちに、体が傷ついていきます。

自然治癒力が落ちると「治る力」も落ちる

若い人たちの多少の疲れであれば「寝れば元気になる」「寝れば治る」などと言われます。

若い世代は自然治癒力もあり、年齢を追うごとに徐々に低下していきます。

自然治癒力の維持を心がけるには、生活リズム、月や年の周期などを意識したバランスの取れた生活をすると良いです。

また、自然治癒力を向上させる目的で「漢方薬」が使われることが多いです。

症状を抑える薬

頭痛薬や風邪薬など市場に多く出回っている薬。これらの薬はよく「効く」のですが、治すことは稀です。

「抗生剤」などの原因を取り除く薬はありますが、よく売れる痛み止めなどは「症状を感じさせなくする」効果です。

胃腸薬なども胃酸の調節や消化補助は行いますが、ストレスなどの原因、回復力・自然治癒力を高めるものではありません。

「効く」と「治す」の根本的な違い

効くと治すを店頭などで説明していますが、意外なところで大きな差に気が付きました。

課外活動で外国の方々に日本語を教えているときでした。

「効く」と「治す」、主格が違います。

普段日本語を使っていると気が付きませんでしたが、日本語を教える段階で気が付くことも多いです。

今回の「効く」と「治す」ですが、

ガ格で合わせると構文の差が出てきます。
例)「薬が」効く⇒薬が(ガ格)
例)私が(薬で病気を)治す⇒私が(ガ格)

薬が主語であれば、薬の効果に重きを置いています。つまり、毒薬でも睡眠薬でも何かしらの働きがあれば「効く」。

私が治すのは「私・私の体」に重きを置いています。私の元気な体に戻すという事になります。病気は目的語になります。

文法上でいえば、この二つの単語は意味や使い方が全く違う事になり、並列する例としては望ましくないことになります。

更に、能動・受動の差もあります。

種類の違う言葉を並べると、日本語学習者には「???」となりますが、日本人にとってはあいまいに「同列」と思って今います。

とはいえ、健康維持は大切。効くと治すを上手に使い分ける必要がありそうです。

まとめ

「効く」と「治す」はよく健康・自然治癒力等で使われます。言葉の違いを掘り下げてみました。「効く」のは薬で、治すのは「本人」。

日本語を教えていると文法の違いがはっきり分かれることがわかり、例として同列には並べられない動詞ですが日本語母国者には不自然さはありません。

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