周囲を敵に囲まれた状況の「四面楚歌」。
心理戦としての効果は歴史に残る程。
追いつめられると正しい判断ができなくなります。
故事成語でおなじみ「四面楚歌」由来と意味
事の起こりは今から2,200年前の中国、「秦」が滅んで「漢」が建国する最後の大きな戦いが舞台です。
四面楚歌の由来
比較的よく知られている、よく使われている言葉である「四面楚歌」。
紀元前200年ごろの中国。秦の始皇帝が建国した「秦」の国は、項羽と劉邦によって滅ぼされました。
項羽は戦の天才で、負け知らず。逆に劉邦は中々勝つことができません。ところが、劉邦にはその人柄や陣営に惚れて、人材が集まってきます。
そこで稀代の大将軍「韓信」がいます。見事な采配で、今まで負けることが無かった項羽を、ついに追い詰めていきます。
何万といた項羽の陣営も残すところ数人となった夜。もう敗北は目に見えている状況でした。もう「戦う」と言うよりも「逃げる」という状況の戦い方。
そんな項羽の陣営に、懐かしい自分の故郷の歌が聞こえてきます。敵に自分の陣営を包囲されている状況で、自分の育った地域の歌。
項羽は「地元の人間も、ついには敵に回ってしまったか。」と絶望してしまいます。
あくる朝、城から出た項羽一団。追い込まれる中、項羽は脱出できる船があったにもかかわらず、それを断り、自刃してしまいます。
その後、劉邦は「漢」と言う帝国を建国。途中中断はありますが、およそ400年続きます。ちなみに、この「漢」が滅ぶときの話が「三国志」になります。
さて、この「四面楚歌作戦」ですが、成功させた条件は次の3つ。
①孤軍奮闘の項羽軍は疲れている(孤独感)
②食事睡眠が十分に取れていない(明日食べられるかも不安)
③夜(考え方がネガティブになりがち)
これ等を上手に使った韓信。やはり用兵の天才ですね
「四面楚歌」の意味
由来は上記の通りです。現代で使われる際の「四面楚歌」は、敵に四方囲まれてしまう、救援の可能性無し、万事休す、という状況を表します。
精神的にいっぱいいっぱいになってしまい、自分以外の理解者がいない、と言う状況で使われることが多いです。
精神的に追い込まれると、視界が狭くなってしまい、正しい判断、落ち着いた判断、別の視点からの解釈ができなくなります。
現代解釈での「四面楚歌」
現在の日本では、命を鎗や刀で奪われることも、籠城することもありません。まして、夜中にふるさとの歌が聞こえてきて「裏切られた」と思う状況もありません。
追い詰められる、精神的にいっぱいいっぱいになってしまう
ところが、精神的に追い込められてしまう人が多いです。
現代社会の闇と言っていいかもしれませんが、切羽詰まった状態に追い込むことが好きな日本社会です。
本来であれば、落ち着いて考えれば、自分を追い込む必要のないことでも、パワハラ・セクハラ等ふくめ、選択肢を見つけることができなくなってしまいます。
例の強者「項羽」でさえ、精神的に追いつめられると「出直す」と言う選択肢を自ら断ってしまっています。
日本の自殺数は年間約3万人。20台から40代までの世代で、一番の死因は自殺です。
まさに、「自殺」と言う選択肢以外、考えられなくなってしまう状況はまさに「四面楚歌」と言えるのではないでしょうか?
コロナ渦での「四面楚歌」
2020年に大きな変化がありました。まさに天変地異と言えるような「コロナ感染症」。これにより、人との関わりが減るどころか、親や家族に会う事さえ「罪悪感」まで出てきています。
特に地方・僻地では外からの人間に対して「病原体扱い」したり、水際対策と称して「外国人排除」のような過激な動きさえありました。
人間、あらかじめ救援がある、友達がいる(つながりがある)、という事が分かれば落ち着けます。
しかしながら、人と会う事が罪とされ、愚痴る事も出来ずに、社会的な四面楚歌が形成されています。
転勤・移住・留学・ワーホリ(WH)は注意!
留学経験・移住経験があるとよくわかるのですが、物事すべてうまく進むことは稀で、躓き(つまずき)が良くあります。
四面楚歌になりやすい状況
転勤したばかりや留学など、生活が一変することが人生では時々あります。自ら選んだ留学やワーキングホリデー、強制的に転勤や入社などがあります。
夜に急に孤独を感じることがあります。四面楚歌は自分の故郷の歌ですが、慣れない土地では周りがすべて知らない人、敵に感じてしまいます。
特に最初は「ハネムーン期」ですべてが楽しく目に映っても、時間と共に「カルチャーショック期」を迎えてしまいます。
この時に上手くいかないことが複数重なってしまうと、焦りや孤独感が増してしまいます。
現代四面楚歌の解決方法
解決方法は人それぞれ。ですが、2200年前の四面楚歌の作戦成功の秘訣を自分自身に置き換えて、解決策を探りましょう。
①疲労時の孤独感克服。
疲れているときは、良い考えが浮かびません。これをまず頭に入れる事。
今夜よりは明日朝の方が頭がよく働きます。
孤独感の解決方法は「知り合いにメール」「親・親戚に挨拶」などでもできますが、ボランティア活動やクラブ活動もおすすめ。
ワーホリ・留学世代では、自分の祖父母に絵葉書をかくのも良いかもしれません。
②食事・睡眠は何しろ大事
焦燥感があるとなかなか寝ることができず、また食欲も落ち気味。
一人暮らしの病気、とくにコロナで自宅療養させられている方は、まさにこの四面楚歌に該当します。
食べられるものを食べて、早く寝る!。もし運動不足であれば、夕方までに軽い筋トレをするのが良いでしょう。
③夜は焦りがち
夜と言うのは、どうしてもマイナスにスイッチが入り勝ち。そのまま朝を迎えれば、マイナスにとらわれたままです。
酒を飲んで寝るのは体を壊すのでマイナスです。リラックス目的の飲酒は善くても、寝る前のやけ酒はお酒やお酒を造っている人に失礼です。
四面楚歌を助長するSNS
自分が疲れているとき、焦っているときなどにSNSを見るのは逆効果。絶対にオススメしません。
同じ状況の人たちの集まりなら良いのですが、同期や同級生たちが笑顔で活躍していたり、人生を謳歌している画像や情報は、良い刺激にはなりません。
嫉みや孤独感を助長するので、SNSは元気な時以外は観ないようにしましょう。
助けは早めに
自分一人で解決する必要はありません。向こうが組織ならこちらも組織を使いましょう。
保健所や精神科で相談!といってもなかなか敷居が高い、行く時間・余裕が無いという人も多いです。
ただ、助けが必要な時は手遅れになっていないように、ガス抜きは必要。助けを呼ぶときは、まだ余力のあるうちに。
一度や二度くらいは人生「リセット」「シフトダウン」するのが良いですよ~
まとめ
項羽と劉邦から「四面楚歌」と言う言葉を考察しました。大将軍韓信による心理作戦の成功例。
現代社会においては、四面楚歌を感じてしまう事が多いです。新生活によるカルチャーショック期はこの四面楚歌を強く感じます。
コロナ感染症での人との関係の希薄、睡眠食事の不安定、そして夜は早く寝ることが解決の一つです。
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