温故知新のアラフィフオジサンです。
今日は「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」について。
臥薪嘗胆とは?意味と由来
有名な言葉なので、知っている人も多いと思います。
四字熟語。難しい漢字が並びます。
臥:寝る事、伏せる事
薪:まき(かまどやストーブなどに使う)
嘗:なめる(食べずに舐めること)
胆:内蔵、とても苦い
意味
主に復讐(リベンジ)や願いをかなえるため、苦労を重ね続ける事です。
前半の2文字は眠れない様なゴツゴツした薪(木片)の上で横になって寝る。
後半の二文字はとても苦い胆(乾燥した動物の内蔵)を舐めて恨みを忘れないようにする。
とても安心してゆっくり眠れない、とても好き好んで舐めることができないを舐めて恨みを忘れないようにする。
この意味は次に述べる由来に大きな影響を受けています。
由来
出典は「史記」ですが、四字熟語になったのは11世紀ごろと言われています。
古代中国の春秋時代(紀元前5世紀:2500年前!)、「呉(ご)」と「越(えつ)」の国家戦争が舞台。「呉越同舟」と言われるように「呉国」と「越国」は仲が悪い。
呉の王が越との戦争中に殺され敗れてしまいます。その王子が父を殺された「越」への恨みを忘れないため、薪の上に寝る事にします。
そして数年後、力を取り戻した呉、今度は越との戦争に勝利。越の王は命乞いをし、呉の部下が王を殺すことを進言しますが、呉の王は越王の命乞いを受け入れ、辱める(自分で自分の城を焼かせられる)だけにとどめます。
命を救われた越の王。毎朝、苦みがひどい胆を舐めてこの恨みを忘れないようにします。
更に数年後、今度は恨みを持った越が呉を亡ぼすことになりました。
臥薪嘗胆から学べる事
よく言われる「臥薪嘗胆」です。あまり恨みを持って生活しているのは良くないのですが、それでも目標達成に向けて正しい努力するのは必要な事です。
この故事成語から他の事も学べます。
「恨み」「雪辱」は忘れやすい
なぜ薪の上に寝たり、毎朝苦い胆を舐めなければならないか。それは「モチベーションの維持はとても難しい」という事が言えます。
親が殺された、皆が見ている前で恥をかかされた。その様な高度な事でも、月日がたつごとに忘れ薄らいでしまいます。それを忘れないようにするためにも、毎日のように苦しい思いをしなければなりません。
受験生が「合格するまでは○○しない」というのもこれに似ています。
ただ、臥薪嘗胆はアクションを追加している所。「○○しない」のではなく、「○○する!」という方が良いでしょう。
詰めが甘い
臥薪嘗胆、どちらも王族が生き残り、そして数年後に力を盛り返して逆襲しています。
呉が勝利し、越王が命乞いをした際、部下の「伍子胥」は強く王の処刑を進言。ちなみに「孫子の兵法」を書いた「孫武」とこの「伍子胥」は同時期に呉に仕えています。何らかの影響があったと考えるのが自然でしょう。
しかしながら恨みを持っていた王なのに、命乞いを受け入れます。
やはり「詰めをしっかり・とどめをさす」というのは必要な事なのかもしれません。
政治スローガンに使われやすい
難しい漢字なのにこれだけ広がっているのは、日本の近代歴史にも深くかかわっています。
日本史で出てくる「日清戦争」と「三国干渉」。日本は日清戦争で勝利を得たにもかかわらず、ロシアなどの大国が口を挟み、得られるはずの利益を奪われてしまいます。その際、政治スローガンとして「次の機会まで、今は我慢しよう」というように使われました。それが日露戦争へつながり、日中戦争、大東亜戦争へと繋がっていきます。
現代社会と臥薪嘗胆
さて、現在の日本社会は如何でしょう?
生活苦しいのに低い投票率
これだけ生活が苦しくなっている、仕事や収入が安心して眠れない毎日。原料高騰と言いながらすさまじい値上げの嵐。
税金を自分たちの選挙の為に使われたのに、メディアではすぐに違うネタを多く流しています。
「すぐに忘れるだろう」と政治家や既得権益の人たちに思われています。
生活苦しいという声が多いのに「投票率」は50%半数以下。どうせ変わらない、投票する先がないという方々が多いのが残念。今の与党政党以外に投票すれば、与党に「焦り」が生まれます。
他国であれば暴動が起きてもおかしくないレベルなんですが…
泣き寝入りが美徳?
なにか恨みや失うもの、馬鹿にされていても、「泣き寝入り」ということが多いように感じます。臥薪嘗胆を忘れてしまっているのではないでしょうか。
確かに泣き寝入り、次の日にはスッキリして自分を誤魔化しているのが多いように感じます。私自身もそうでした。サービス残業当たり前、土日休日関係なし、家族の犠牲が美徳。結局これで喜ぶのは経営者のみ。
まとめ
故事成語の臥薪嘗胆について、意味と由来、学べる事、そして現代社会には忘れかけている事を取り上げました。恨みや復讐のみでは良くないですが、それでもモチベーション維持にはとても難しいことがわかります。なるべくなら良い方へ運べるようにしましょう。
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