今回は、様々な物語の源になっている「史記」からの言葉です。
「桃李言わずして下自ずから蹊を成す」の意味と由来
難しそうな言葉です。「桃李不言下自成蹊」
桃李(とうり)言(ものい)わずして下(した)自(おのず)から蹊(みち)を成す。と読みます。
史記とは
史記は、今から2000年前、中国前漢の武帝時代、司馬遷によって編纂されました。
歴史の参考文献となる二十四史の第一で、歴史的資料だけでなく文学的な資料としても貴重です。
日本の元号としても広く使われています。
漢よりも前の時代の人物や「項羽と劉邦」等もこの資料が役立っています。
言葉の意味
「桃李言わずして下自ずから蹊を成す」
桃や李(スモモ)は、何も言わなくても自然に人が集まり、その道ができる。
立派な人物や人を惹きつける人物は、その人物を慕って、自然に人が集まってくる、と言う意味です。
東京にある「成蹊大学」もこの言葉が由来になっています。
言葉の由来
前漢の将軍「李広(りこう)」をたたえた言葉。
李広将軍は弓の名手で「漢の飛将軍」と名をとどろかせていました。
しかし彼自身は、いたって無口で朴訥な人柄。しかし部下や仲間を良くかわいがり、恩賞なども皆で分けました。
皆で同じ食事をし、泉等の水も皆が飲み終わるまで自分は飲まなかったという逸話があります。
この将軍の下では、部下たちはこの将軍のために働こうとし、また他の将軍との連携もうまくいったとのこと。
まさに魅力的な上司と言えるのではないでしょうか。
現代社会に置き換える
現代社会において、なかなか良い上司に巡り合う事は難しいです。また、良い上司にこちらから出向くことはほぼ不可能な社会構造。
現場の意見を聞かない(知らない)上司、そして報酬はほぼ独り占め。
それで「面従腹背」は嫌われるのはおかしなこと。
「面従腹背」は当たり前
あまり良くない人物としての表現「面従腹背(めんじゅうふくはい)」と言う言葉があります。
表向きは従っているように見せて、腹の中では反対している。
現代のブラック企業、ブラック社会にとって「面従腹背」は当たり前となってきました。
以前私も上司から「面従腹背するな」と言われたことがあります。給料減らされ、休日もロクにとれずに待遇が悪くなる一方。
言われる方に大きな責任があるのに本人は気がついていません。案の定、多くの人が去っていき、他にも精神の病で病欠が数名出る企業となりました。
徳を積む
上司と部下、という関係だけでなく、夫婦や友達、noteの仲間も同じことが言えるかもしれません。
なにか自分の為に一生懸命になってくれる人、そんな人には「徳」が集まってきます。
困ったことに限らず、自分の得意な事、出来ることを精一杯、人や社会の為に役立てることで「徳」を積み、人が集まってきます。
そして、その人が他の人を紹介し、その輪が広がっていきます。
まずは自分が桃や李になれるよう、自分にできることを広げていくのが方法と言えます。
友達作りも同様に
最近はSNSで、現実社会であれば出会うキッカケがなかった人たちでもつながることができます。
その際、自分に何ができるのか、自分の得意分野、趣味嗜好を発信していくことで、自然と人が集まってきます。
SNSで、ただ単にフォロー、フォローバックをしていってもなかなか友達はできません。
書き込まれた内容にコメントする、という第一歩のアクションを起こすことで、返信がもらえたり、趣味の話で盛り上がったり、という「二歩目」が踏み出せます。
SNS、noteも様々なクリエイターさんが活動し、自分の得意分野や似ている趣味嗜好の方が多いです。
友達作りの第一歩として、記事にアクセス。スキだけでなくコメントも書いてみるのも良いでしょう。
頂いたコメントは、どんな人が興味持ってくれたのか、という心理が働き、2,3続くことで、信頼関係が構築されていきます。
そして桃や李の様に、自分も実をつけるように成長できます。
人生のパートナーも
たまたまご縁があって、結ばれる恋人、夫婦。ここにも「桃李不言下自成蹊」が役立ちます。
誰かのために一生懸命に動いてくれる人には人が集まってきます。人が人を呼び、良い出会い、ご縁も運んでくれます。
「彼女が欲しい」「彼氏が欲しい」と言っているだけではダメ。他の事に専念しているときに魅力が発揮。その魅力や自信が顔の表情などに反映されて良い顔になってきます。
マッチングアプリ等でも同様、自分にとって魅力的な人は他の人からも魅力的に映ります。
お互い助け合って魅力的にするためにも、まず花を咲かせ、桃や李を実らせるよう心掛けましょう。
まとめ
桃李不言下自成蹊(桃李言わずして下自ずから蹊を成す)について。意味や由来、そして現代社会の問題点や友達作りについて述べました。
現代社会では「面従腹背」が当たり前になってきましたが、それはされる方の問題。
自分のできることを一生懸命行う事で、自ら桃や李になり、自然と人が集まり道ができる。
そんな人間になりたいものです。
参考文献
Kindle Unlimitedの「読み放題」で資料を。社会人の勉強に必須
中国古典・人生の知恵(守屋洋先生の本)
コミック版もあります
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