項羽と劉邦の登場人物「韓信」の放った言葉。
リーダー資質に欠く人を表した表現です。
この時代の「婦人」という事で、現代では問題になりそう。
「匹夫の勇、婦人の仁」由来と意味
相手を悪く言う際に使われる表現。前半と後半で意味が違いますが、どちらも男性リーダーや上司、経営者に対して悪い評価の言葉です。
「匹夫の勇」の意味
「匹夫の勇」と言う言葉自体は中国の思想家「孟子」の中に出てきます。
物事を深く考えずに、自分の腕っぷしや刀を振り回すような立ち居振る舞いをする人を指します。
『匹夫』とは「項羽と劉邦」や「三国志」などの古典物語によく出てきますが、無教養や浅はかな人間、品の無い、怒りっぽく、何かと大声や手を上げて相手をねじ伏せる、金と権力に汚いような男を表します。
失敗の反省や分析を行わなず。
幾度も馬鹿の一つ覚えのように攻撃を繰り返す。
本人だけなら良いのですが、その部下になってしまった際はたまったものではありません。
「婦人の仁」の意味
後半の「婦人の仁」。現代社会において、公の場で使用が難しい言葉の一つ。「女々しい」同様に、性差別の表現になってしまいます。女性には不快な言葉です。
さて、ここでの「婦人の仁」とは、どう意味でしょうか?
元々は、目の前で弱っている人を見ると、助けてあげたくなる、優しく手を差し伸べる『仁』の心を表現しています。
ただし、この「匹夫の勇・婦人の仁」での場合は、嫌み表現で
言葉の意味が曖昧。
言葉はかけるが、恩賞等は出し渋る。
弱い時は助けるが、恩着せがましい。
勢いを戻しつつあると冷酷無視する。妨害する。
なんだか韓国ドラマによくありそうな足の引っ張り合いを観ているようです。
韓信の評した「匹夫の勇、婦人の仁」とは
さて、この言葉「匹夫の勇、婦人の仁」はどのように使われたのでしょう?
韓信は当初、項羽の元についていました。しかし脇役ばかりで、自分の発案した作戦も横取りされたり、待遇が良くなりません。
そこで、西へ左遷された相手側の劉邦の元に転職します。当初は同じようにあまり良い待遇ではなかったのです。同じく逃げ出そうとしたとき、劉邦の筆頭部下、蕭何により「国士無双」と評され、大将軍に推薦。
そこから韓信は伝説的な功績を上げます。今でも「背水の陣」「四面楚歌」等の言葉が残されています。
さて、項羽と劉邦の戦の際、劉邦が項羽についてどのような人間かを尋ねた際、項羽を評した言葉です。
信賞必罰が徹底されておらず、贔屓や手柄の横取りなどが横行。味方なら良いが、自分の意に沿わない人間はすぐに切り捨てるか、首をはねてしまう。
つまるところ「彼がトップでは、先は長くない」という事です。
「匹夫の勇、婦人の仁」を現代に照らし合わせてみる
個人ではなく組織運営にとって、「匹夫の勇、婦人の仁」は致命的な不公平感をあぶりだします。
口だけパフォーマンスが多くなった昨今
バブルがはじけて20年。幾度も大きな災害や景気対策の失敗、増税などがあり、先進国の中でも最低レベルの成長率です。
コロナで追い打ちをかけて目立ってきたのが「言葉だけのパフォーマンス」。
「自粛」と称して補償もなく負担を強いる。
予算の中抜き常態化。
医療従事者に感謝!と言いながら末端の従事者までは手当が届かず。
言葉の意味が曖昧
この辺はまさに悪い意味での「婦人の仁」。
若い世代は!や、お年寄りは!など、年齢やグループを曖昧にして何か不都合があれば「誤解を招いた」と言う。
次に、
仮想の敵を作り、攻撃をする自画自賛。
無計画な一斉休校や、自治体に丸投げした「接種計画」。
国内事情を考えない海外支援の拡大。
国会発言後の公文書改ざん、忖度の蔓延。
などは「匹夫の勇」でしょうか。
中小企業経営者の「匹夫の勇、婦人の仁」
これは国だけではありません。中小企業も「匹夫の勇、婦人の仁」に陥っていないでしょうか?
ワンマン社長や中小企業等もピークを越えて安定期、衰退期に陥ると、これらが目立ってきます。
身内に甘く、その他従業員は使い捨て
昇給賞与は出し渋る。役員報酬は逆に上昇
手柄は自分、責任は自分と言いつつ、従業員に後片付け押し付け
これらが続くとその企業自体が長く持ちません。
対処法としては「公明正大」「信賞必罰」の徹底でしょうか?
まとめ
組織運営、人の上に立つ人間として言われてはいけない「匹夫の勇、婦人の仁」。2200年以上前の孟子、韓信の言葉から。
現代社会においても無計画で切り捨て社会、依怙贔屓が常態化する組織社会は長続きしません。
公明正大・信賞必罰が良い社会・組織を作ります。
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